最近特に知識を重視する傾向にあるようで、少し気にかかります。知識は役に立つようで、実はあまり役に立ってないような気がします。ずっと農業ばかりしてきましたが、経験することの方が遙かに面白く、かつためになったような気がします。

そこで「老子」【詳しく知りたい方は「中国の思想 第六巻 老子・列子」をご覧下さい。】の中から言葉を借りて題名にしてみました。自然農法を代表するつもりで「無君」。そして知識派代表「学君」二人に登場してもらい、パタゴニア、自然農法、やきものなどなど・・・二人に語ってもらいます。

無:「パタゴニアについて語れ」と言われても、パタゴニアってメチャクチャ広いからね。

学:そうだね。普通はブエノスアイレス州とラ・パンパ州そしてリオネグロ州の堺を流れるリオコロラド以南を言うんだよね。

無:流石に詳しいね。リオコロラドって凄く小さい川でさあ、そこに動植物検疫所(Control Sanitario)がある。養蜂の蜂箱移動の規制があってね。でもあんまり意味ないよね。あまりに川が小さすぎて蜜蜂の飛行距離は結構あってさ、その川位軽く超えてしまうのに、それでも法律で規制するんだよ。面白いね。

学:法律ってそういうものだよ。

無:まあそんなことはどうでもいいけど、パタゴニアの魅力って何かな?

学:なんだよ反論しないのか?つまんないなあ・・・やっぱりペリートモレノ大氷河をはじめとする自然じゃないかな。

無:そうかなあ?パタゴニアって広いけど思ってたよりもずっと動植物が少なくて驚いた。僕が働いていた道東は凄かったけどなあ。景色は良いし、食べ物は美味いし、冬の「エゾシカ狩」は最高だったな!北海道や長野から来た友達もパタゴニアは思っていたより植物が少ないと、言ってたよ。

学:でも、世界中から観光客が来て凄く賑わっているよ。それにクジラツアーのバルデス半島も有名だよね。

無:そう、あそここそさあ砂漠と言ってもいいくらい植物がないけど、一応面白いことに「自然保護区域(La reserva natural)」になっているんだよね。

学:でも一体それの何が面白いの?

無:わかんないかい?だってほとんど砂漠なんだよ、砂漠は自然かい?違うだろう。砂漠は自然じゃない。

学:砂漠が自然じゃないなら、どうして砂漠があるんだい?

無:それが問題なんだよ。砂漠は人工物だと思っている。多分、耕したり、動物を家畜化したりしたからだよね。だから砂漠になったと思うな。

学:でもさあ、良く言われることだけどさ、「文化(cultura)」って「耕す(cultivar)」から来てるらしいよ。

無:そんなことは知らないけど、耕して文化が滅んじゃ意味ないじゃない。古代文明の発祥地がほとんど今は砂漠地帯だよ。だから老子さんが言うんだよね。「絶聖棄智 民利百倍」。頭を使って砂漠にしたんだから、頭を使わなきゃ好いんだよ。

学:頭を使うか使わないかはともかく、それじゃパタゴニアって魅力ないの?

無:よくぞ聞いてくれました。パタゴニアの魅力はさ、石だよ。緑はないけど、石がある。

学:石なんてどこにでもあるよ。そんなのが面白いのかい?

無:そう、石はどこにでもある。でも全部違うんだよ。同じものは一つもない。随分探したけど、今のところ同じものを見つけたことはないね。

学:何をそんなに偉そうに!でも似ている石はたくさんあるよ。

無:似ているだけだよ、同じじゃない。パタゴニアの乾燥地帯に行くと、白い石ばっかりの所、火打ち石になりそうな石がゴロゴロしている所があるんだ。


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